第3回 演芸館が〈濃い〉小樽

 小樽は、非常に演芸館の多い所でした。例えば大正から昭和10年代にかけては、その名が『小樽市史 第10巻』に記録として残っている館だけで17館(何回か館名が変わっても同じ館として数えて)ありました。

 ただ、小樽を知らない方にとっては、そう言われただけではピンと来ないかも知れません。

 実は、小樽市は、合併された隣接の町村や、戦後の高度成長期に開発された住宅街を除けば、昔ながらの市街地は割にコンパクトです。
 現在で言えば、稲穂町の北端から、南は南小樽駅の周辺、住吉神社を越えて勝納川あたりまで。試みに地図サイトの機能を使って単純計算すると、直線距離で約2.5kmほど。徒歩46分、ジョギング18分で通り抜けられる距離、と出ます。もちろん、道には起伏も信号もありますので、実際はもっとかかりますが……。
 そして、そこを南北に縦断する商店街のラインに沿うようにして、大正時代から昭和初期には、演芸館が、全市17館のうち14館も建っていたわけですから、平均すると、約180メートルにつき1館…歩いて約3分につき1館の演芸館が現れる計算で、これは多いと言えるのではないでしょうか?

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