第17回 越後屋さんに贈られた後幕

 さて、久左ヱ門さんにお話を戻しましょう。

 師匠にはつかず、生の舞台から名優・名演者の芸を〝盗んで〟踊りや演技を極めていった越後久左ヱ門(第10回11回12回13回)。その芸達者は認めぬ者がないところとなり、ついに、花園第一大通の商店主の集まり〈至誠会〉と、同じく第二大通の商店主の集まり〈温交会〉から、高い芸域を讃えた後幕(うしろまく)を寄贈されることとなりました。〈後幕〉とは、踊りの背景に使われる幕です。大正13年10月のことでした。
 その〈後幕〉寄贈のための寄附をつのった、以下のような書面が残っています。

越後家君後援 後幕寄贈録 主催 至誠会有志
 我(わが)名物男越廼家(こしのや)君は我等不老年の為には無くてはならぬ名物で有る かかるが故に同志相はかり後幕壱張(ひとはり)寄贈せむとす どうぞ皆さまも君(くん)の為にがまぐちをふるってなる丈(だけ)大きなペーパーを御寄贈ならむ事を御願致ます
 ふじのすそのに立つかりの 又おとづれて来る頃も
 大正拾参年葉月中旬 世話人 有志一同

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